就労に向けての施設と制度
長くこころの病気を患っていると、長期休職を余儀なくされたり、なかには退職しなければならない状況になるかたもいらっしゃると思います。
こころの病気が落ち着いてくれば就職したいところですが、雇用の流動化が定着してきた日本でも、中途採用比率は大企業になるほど低くなり、社員300名以上の企業では50%を下回る(つまり、新卒採用比率が高い)そうです(d’s journal 2021.06.21付サイトより引用)。
このため、長らく仕事に就けなかった人たちを対象に就労を支援する制度が、2006年に旧障害者自立支援法によって整備されるようになりました。それが、これから紹介する就労移行支援と就労継続支援です。【移行】と【支援】の違いは、以下のようになっています。
- 就労移行支援(障害者雇用での就職を目指すための制度。)
- 就労継続支援(仕事の機会を提供する制度。雇用契約を結ぶA型、契約を結ばないB型)、以前は作業所と呼ばれていた。
就職できるかどうか、また雇用契約を結ぶかどうかでお給与は異なってきますので、最初から就労移行支援に行きたい、と焦る方がいらして当然だと思います。ただ、そこは主治医や自治体のソーシャルワーカーさんなどと相談して、ご自分に合ったところから少しずつ始めてみるのが、長い目で見ると良いと思います。
場合によっては、クリニックや病院のデイケア通所から始めた方が良い場合もあるかもしれません。
お金の心配は出てきますが、以前ご紹介した福祉制度をいろいろ組み合わせて自己負担をなるべく減らすようにすれば、治療にも専念できると思います。
また、就労支援や就労継続にはさまざまな団体がありますので、ホームページ、ハローワーク、自治体などから情報を集めて、いくつか見学して合いそうなところを決めていくのが良いでしょう。親身なところですと施設の職員さんが患者様の同意のもと、一緒に外来にいらして医学的に注意すべき点などを聞かれることもあります。
就労支援、就労継続ともに対人関係のある場所ですので、クリニックと同様に相性の良し悪しはあると思います。じっくり焦らず、ご自分に合う施設を選べると良いですね。